災害時の非常用トイレに使える凝固剤「Newsorb(ニューソーブ」を紹介します。
もしもの時のトイレの備え、どうしていますか?
この記事にたどり着いてくれた方ならきっと防災についての意識も高く、30回分くらいがセットになった非常トイレのセットを準備している方は多いのではないでしょうか?
これもいいアイテムだとは思うのですが、結構お高いので充分な回数分用意するのはお財布的にも大変。
30回分をたった一箱だけだと3人家族だと2日分ももたないわけで…。
でも実際に大規模災害が起きてしまうと、断水が数日間で復旧というのはほぼありえないのです。
例えば阪神淡路大震災の時の筆者が住んでいた地域の場合上下水道復旧までに約1ヶ月ほどかかっているため、その間の最低限下水道が使えるかどうかが確認できるまでの間の非常用トイレは確保して置きたいところです。
そこでおすすめしたいのが、1kg単位でまとめ買いできる凝固剤を使う方法です。
災害用非常トイレはセット買いだと結構高価
筆者がNewsorbを買う前に用意していたのがこの非常用トイレ30回分なのですが、家族全員分を揃えるとなると結構高額になる上に保管場所もとってしまいます。
この商品のように一般的な非常用トイレの内訳は凝固剤とビニール袋が1回分ずつ個包装になっているという仕様。
ならば、これを自分たちで自作してしまおうというわけです。
Newsorbってなに?
Newsorbとは何か…?品名には高吸収性樹脂とあり、成分は「ポリアクリル酸ナトリウム」と書かれています。
用途を見ると水分だけではなく血液や土なども固められるんですね。
「ポリアクリル酸ナトリウム」は、身近なものだと生理用ナプキンや紙オムツ、保冷剤、芳香剤、ローションなどに使われている安全性の高い食品添加物とのこと。
実際にNewsorbで水を固めてみた写真がこちらです。
この既視感…ケーキやアイスにつけてくれるあの保冷剤の中身ですね。
大体500mlくらい?の水をたらいに入れ、ペットボトルのキャップ1杯分くらいのNewsorbを振り入れて混ぜながら1分くらい経つとこうなりました。
筆者の用意しているのはNewsorbの1kg入りを2袋です。これにBosの臭わない袋や便器に被せる大きさのゴミ袋(45リットル)を組み合わせて使います。
Newsorbを非常用トイレとして使う具体的な方法
実際に非常用トイレとして使う方法もまとめておきます。
まず、「Newsorb」と合わせてトイレにかぶるサイズの袋と防臭袋を用意します。
便器に被せるための大きさと言われてもよくわからないとは思いますが、普段ゴミ捨てに使われている大きな袋(40〜45リットルサイズ)くらいあれば大丈夫です。
- この大きな袋を予め2枚くらいトイレにかぶせて固定しておく
- 使うときにもう一枚被せて用を足す
- 「Newsorb」をペットボトルのキャップ1杯程度を混ぜてゴミ袋をとじる
- 別途に用意したBosの防臭袋に入れ1日分貯める
- ごみ収集の復活や仮設の回収場所の設置があるまでゴミ集積所またはベランダ、庭などで保管
※排便の場合は都度Bosの防臭袋で密封します
そして袋の色。排泄物用なので内容物が見えないように黒にするか迷いましたが…。
普段からプラごみに使える半透明のものにしてこちらもローリングストックできるようにしました。
ビニール袋も長期保管となると劣化してきそうな気もしますし。
とはいえ排泄物用なので内容物を直視したくないし家族でもみたくないしみられたくない…とというのが正直なところ。
なると、黒いゴミ袋がベストだとは思います。
でもそうすると今度は健康状態の確認がしにくくなるので難しいところですね…。
実際は災害時にそんなことまで気にしていられないかもしれませんが、医療機関にかかるハードルが上がるうえにただでさえ強いストレスがかかる時だからこそ、おしっこに血が混じっていないのか、便が黒くなっていないかのチェックはとても大事かなと。
災害関連死は衛生環境の悪化でも起こりうることですし、そんな非常時だからこそ、体調の変化には注意しておきたい所です。
結局は好みや考え方にもよるとは思いますが…。
筆者はローリングストック可能なことと健康チェックのことを考えて半透明に。その代わりさらに匂いを抑えるための防臭袋に入れることにしました。
災害用トイレで排泄後の保管はどうするか?
トイレの防災を考えるとき、災害用トイレに用を足した後のことって考えた事ってありますか?
災害時は交通の麻痺と同時にゴミの収集も止まってしまうため、仮設のごみ収集場が設置されたり収集が再開されるまでは庭やベランダなど家のどこかに保管することになります。
そして排泄後のにおいの問題は排便時だけではなく尿の場合も注意点があります。
これは娘のおむつ用ゴミ箱の悪臭問題に直面した時に知ったんですが、おしっこだけを吸収したオムツも密封して保管するとめっちゃ臭くなるんです。
その使用済みおむつの匂い問題に直面した時に書いた記事がこちら↓

おしっこだけだとなんとなく排便時よりはマシのように思うかもしれませんが、密閉して保管した尿の匂いって時間が経つと結構な刺激臭に変わってしまうのです。
その刺激臭に変わるまでの期間というのも、1週間放置したとかではなくゴミの日までのたった数日間密閉するタイプのおむつ用ゴミ箱に置いておいただけの話なんです。
今思い出しただけでもクラクラしますが…密閉性の高いオムツ専用ゴミ箱の蓋を燃えるゴミの日に開けて取り出す度に咳き込みすぎて吐きそうになるくらいの刺激臭でした。
匂いを防ぐために買ったはずのおむつ用ゴミ箱なのにむしろニオイがひどくなる…。
ひどい異臭に困り果ててたどり着いたおむつの匂い解決方法が、「新聞紙に包んで密閉じゃない普通のゴミ箱に捨てる」という方法でした。
ただし、これは通気性に優れている「紙オムツ」なら有効な方法であって、「Newsorb」を使った排泄方法の場合、トイレにかぶせたゴミ袋に排泄するため当然ビニール袋で密封した状態になります。
じゃあゴミ袋に密封して二度と開けないんだから臭わないんじゃないの?
と思うかもしれませんが、これが普通のゴミ袋だと匂うのです。生ごみをそのままゴミ袋に入れておくと匂うのと同様に。
しかも時間が経って刺激臭に悪化してしまうという困った状態になってしまいます。
じゃあどうすればいいかというと、おしっこの時もできればBosのおむつが臭わない袋に入れてしまえばそれがベストだと思います。
ただ、Bosのような防臭袋は1枚当たりの単価がお高いので、家族全員分毎回使うとなると今度はコストが気になってきます。(予算に余裕のある方ならBosの防臭袋を大量に用意してシンプルに都度使いが一番いいだろうと思います)
なので、家族に人数的にも予算的にもBosの袋を都度使いするのはちょっと…という場合は、刺激臭に変わってしまわない程度にひとまとめにしたものを例えば1日分毎にBosの防臭袋(大きいサイズ)にまとめてしまうという運用でもいいんじゃないかと思います。
正直なところ、災害時の優先順位のことを考えると「トイレの異臭」まではノーマークというか…どうしても優先順位を下に考えてしまうというか…。
「災害時なんだからそこまでの贅沢は言っていられない」と思うものなのかもしれません。
だけど、実際に阪神淡路大震災で早朝からトイレに困った経験をした筆者としては、「トイレの臭いや衛生問題は防災の優先順位上位だよ」と言っておきたいと思います。
ということで、非常時の全員が余裕がないときの不衛生なトイレは心身に容赦なく追い打ちをかけてきます。
衛生面でも感染症などがとても心配。災害時のトイレ対策は本当に本当に大事です。
令和の今は阪神淡路大震災の頃よりはかなり防災意識が高まっているはずなので、筆者の体験談のようにひどくなることはないかもしれませんが…小さいお子さんがいる家庭なんかは特に気をつけてあげたいですね。
2週間の避難所滞在後は自宅に戻っての在宅避難。
高層の集合住宅住まいだったために重い水を持って給水車から自宅までの10階以上ある階段を何往復もするという試練も待っていました…。
もし災害用トイレがなくても水で流す方法があるにはあるんですが、水汲みは本当に大変ですし、災害直後は給水車から配られる水の量にも制限がかかります。特に人口の多い都市部では「一人数リットルずつまで」などの制限の中で飲み水や食事用の水なども賄うことになります。
なので防災用トイレがあれば、給水車の水は食事や洗濯用に使えるので全てを賄うよりはかなり楽になるはずです。
人口の多い都市部住まいで高層階に住んでいるという方は特に、災害時の断水対策は抜かりなく。をおすすめします。
【おまけ】Newsorbのトイレ以外の活用方法
ちょっと臭い話がつづいてしまったので、ここで一旦いい香りの話を…。
今回「Newsorb」を固める実証をして、写真におさめた後の凝固水(?)をただ捨てるのも勿体無いので手作り芳香剤を作ってみました。
「Newsorb」で水を凝固させたものっていわゆる「置き型ファ◯リーズ」の中身のベース部分だそうで、今回は口の大きな小瓶に入れ、ハッカ油を混ぜて下駄箱の消臭にしてみました。
ハッカ油は防虫効果もあるので、夏場とか玄関やベランダ近くに置いても良さそうですね。
まだまだあるので、もうひと瓶にアロマオイル(今回はベルガモット)を混ぜてリビングルームの芳香剤にしてみました。
また、「Newsorb」で水を凝固させたものは保冷剤の中身でもあるということで、まだまだ余っていた凝固水をIKEAのジップバッグに入れて凍らせてみました。
冷凍庫の中でうまく平にできなかったけど…15cm×15cmくらいの大きな保冷剤が簡単にできました。
アウトドアなどで急遽保冷剤がたくさん欲しい!とか、急に高熱が出てしまったけど保冷剤切らしている…!なんて時にも「Newsorb」が活躍してくれそうです。
湿気に弱い製品なので保管方法にはご注意を
これは単純に筆者の失敗談なんですが…保管場所がよくなかったせいか恐らく他の箱物の角が当たって袋に穴が空いてしまいました。
(購入から1年ちょい経った頃にブログ記事を書くためにチェックしたらこうなっていた…)
このアクシデントがあったため飛び出てしまった粉で先の水を固めてみる実証ができて、写真も撮れて、注意喚起もできたので…結果オーライ…かな?
でも1kgもの量が1袋にまとまっているので万が一このまま水に浸かってしまっていたら大惨事だったかも…。この辺が大袋まとめ買いの最大のデメリットでもありますね。
地震の揺れでものが落ちてくることも想定の上、高い所には置かないとかくれぐれも保管方法にはご注意くださいませ。
↑この後無事だった左側もジップバッグに入れ、さらにダンボール箱に入れました。これで地震の揺れでしっちゃかめっちゃかになってもある程度は大丈夫になったかなぁと思います。
災害用トイレは「Newsorb」で自作がコスパ◎な話まとめ
セットで売られている災害用トイレはあらかじめセットになっているだけあって防臭についてもしっかり考えられているだろうし、便利で使い勝手もいいと思います。
なので、匂いのこととか自作だとめんどくさそう…と思う人はセットになった災害用トイレ一択ですね。
ただ、上下水道復旧までに長期間かかってしまった場合のことを考えると結構たくさん用意しないと足りなくなるのでお高いのかなと…。
もしか首都圏で都市型の大災害が起きてしまったら。
阪神淡路大震災では上下水道復旧までに約1ヶ月だったけれど、約3000万人が暮らす首都圏…特に一都だけで約1500万人もいる東京で、大規模なライフラインストップと交通麻痺による長期間の物流ストップになってしまったら…。
人口の多さゆえに上下水道復旧までの期間は1ヶ月どころでは済まない可能性が高いと個人的には予想しています。
そうなるともう自助しかないですよね。
特にトイレは非常時だろうが止めることができない災害時に真っ先に困る生理現象で、筆者は実際に阪神淡路大震災でトイレが一番困りました。
現在はトイトレが完了しつつある3歳の娘もいる中で詰むわけにもいかないなということもあって、トイレの防災についてはより具体的にしっかりめに用意しているというわけです。
ということでこの記事で伝えたかったことをまとめると…
- 災害用トイレは凝固剤「Newsorb」の1kg買いプラスゴミ袋の組み合わせがコスパ良し
- 断水が長期化することも考えて災害用トイレは多めに準備が吉
- ごみ収集が止まることも視野に入れ捨てる時の臭い対策も抜かりなく
- Bosのオムツが臭わない袋(防臭袋)は超優秀(赤ちゃんのおむつ処理問題で実証済)
- 都市部(特に高層階)住まいの方は特に断水・トイレ対策を手厚めに
在宅避難中に断水が想定以上に長期化してしまった時でも比較的安価にトイレの手段を確保する方法として、凝固剤「Newsorb」を1kg買いして災害用トイレを自作する方法を紹介しました。
この記事の内容が防災アイテムの見直しのお役に立てたら幸いです。
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